こんな課題をお持ちの方々へ。
この記事では、これらの課題を解決するために、新規性・進歩性に関する拒絶理由通知に対応する際に、意識しておくべきポイントを、作業フローとして整理しています。
拒絶理由通知への対応に慣れていない方は、是非、この作業フローを利用してみてください!
目次
【結論】拒絶理由通知を分析するための作業フロー
結論から先に言いますと、分析作業フローは以下の通りです。それぞれの項目で、具体的にどのような作業を行うのかは、次の章で整理します。
(基本的に、審査基準の内容を整理したものになります。)
チェック1-1:記載されている事項(記載されているに等しい事項)の認定は正しいか?
チェック1-2:省略されている部分は正しいか?
チェック1-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?
チェック2-1:相違点の認定は正しいか?
チェック2-2:本願発明の認定は正しいか?
新規性の拒絶理由通知の場合には、基本的にステップ2で終わりです。
チェック3-1:記載されている事項(記載されているに等しい事項)の認定は正しいか?
チェック3-2:省略されている部分は正しいか?
チェック3-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?
チェック4:以下のものが存在するか?
①技術分野の関連性・②課題の共通性・③作用、機能の共通性・④引用発明の内容中の示唆
チェック5:一定の課題を解決するためのものか?
チェック6:機能的又は作用的に関連しているか?
チェック7:異質な効果・際だって優れた効果を有しているか?
チェック8:以下のものが存在するか?
①発明の目的に反するもの・②発明が機能しなくなるもの・③適用が排斥されているもの・④他の実施例より劣る例として挙げられているもの
分析フローの各項目の整理
ステップ1:主引用発明の認定の分析
このステップでは、以下の項目をチェックします。
- チェック1-1:記載されている事項(記載されているに等しい事項)の認定は正しいか?
- チェック1-2:省略されている部分は正しいか?
- チェック1-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?
チェック1-1:記載されている事項(記載されているに等しい事項)の認定は正しいか?
「記載されている事項」は、主引用文献に、明記されている事項になります。
本願発明が、主引用文献に明記されていれば、本願発明は、新規性がないということになります。
それでは、逆に、本願発明が主引用文献に明記されていなければ、必ず、新規性があると言えるのでしょうか?
答えとしては、「必ず」というわけではありません。
仮に、本願発明が、主引用文献に明記されていなくても、技術常識を踏まえれば、主引用文献にも記載されていると言えるのであれば、それは、「記載されているに等しい事項」と認定され、「記載されている事項」と同じ扱いとなります。
そのため、本願発明が、主引用文献に明記されていないからと言って、それ以上の分析をせず「新規性がある」と反論するのは賢明ではありません。きちんと「記載されているに等しい事項」かも確認しましょう。
a 「刊行物に記載された発明」とは、刊行物に記載されている事項及び刊行物に記載されているに等しい事項から把握される発明をいう。審査官は、これらの事項から把握される発明を、刊行物に記載された発明として認定する。刊行物に記載されているに等しい事項とは、刊行物に記載されている事項から本願の出願時における技術常識を参酌することにより当業者が導き出せる事項をいう。
特許審査基準 第III部 第2章 第3節 新規性・進歩性の審査の進め方 P3参照
チェック1-2:省略されている部分は正しいか?
例えば、本願発明の構成の一部分(例:「~装置において」部分)が、一般的な技術を示しているに過ぎないような場合などには、審査官は、その部分を省略することがあります。
基本的には、起案文が簡潔なものとなるので、良いことかと思っていますが、
たとえ一般的な技術であるとしても、引用文献には記載されていない可能性もあります。
そのため、省略されている構成が、本当に引用文献に記載されているかは、しっかりとチェックすべきだと考えています。
チェック1-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?
ここでは、引用文献の中に、他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるかを確認します。
「他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載」とは、以下のようなものを想定しています。
- 引用文献1ならではの構成を示す記載で、他の構成とすることを阻害するような記載。
- 他の構成とすることを示唆するような記載。
このような記載は、進歩性の判断の際(特に、「チェック4(の④引用発明の内容中の示唆)」、「ステップ8:阻害要因の確認」)に、影響を及ぼす可能性があるため、見つけられた範囲で整理しておくのが良いと思っています。
(他の引用文献との関係を整理していく過程で気が付く場合もあるため、ここで時間をかけ過ぎる必要はありません。)
他の項目でも使える可能があることを踏まえると、ここの項目(チェック1-3)のチェックは、しておいて損はないと考えています。
適切に作業をするために
ここでの作業や、以降の比較をする作業は、(エクセル等の)表を使って行うと、ミスが減るので良いと考えています。
この表については、例えば、登録調査機関が作成している検索報告書などが参考になります。
検索報告書の見つけ方については、以下の記事をご覧ください。
参考までに、私が普段使用している表(作業シートテンプレート)を共有させていただきますので、自身でテンプレートをお持ちでない方は、是非一度、こちらをご利用ください。
新規性・進歩性:作業用シートテンプレート
ステップ2:相違点の認定の分析
このステップでは、以下の項目をチェックします。
- チェック2-1:相違点の認定は正しいか?
- チェック2-2:本願発明の認定は正しいか?
チェック2-1、チェック2-2は、その文言通り、すんなり理解できるものかと思います。
最近は、多くの審査官が、相違点を挙げてくれるようになっています。(昔は挙げていない審査官が多かったように思います。)なので、その記載が正しいかを確認する作業になります。
記載されている事項が正しかったとしても、相違点の見逃しがあるかもしれないので、見逃しがないかもしっかりとチェックする必要があります。
そして、チェック2-1の対応をしていても、どうにもしっくりこない時があります。その時は、審査官が本願発明の認定を誤っている可能性もありますので、その可能性も視野に入れておくことが大事だと思います。
4.1 対比の一般手法
審査官は、認定した請求項に係る発明と、認定した引用発明とを対比する。
請求項に係る発明と引用発明との対比は、請求項に係る発明の発明特定事項と、引用発明を文言で表現する場合に必要と認められる事項(以下この章において「引用発明特定事項」という。)との一致点及び相違点を認定してなされる。審査官は、独立した二以上の引用発明を組み合わせて請求項に係る発明と対比してはならない。4.3 対比の際に本願の出願時の技術常識を参酌する手法
審査官は、刊行物等に記載又は掲載されている事項と請求項に係る発明の発明特定事項とを対比する際に、本願の出願時の技術常識を参酌し、刊行物等に記載又は掲載されている事項の解釈を行いながら、一致点と相違点とを認定することができる。ただし、この手法による判断結果と、これまでに述べた手法による判断結果とが異なるものであってはならない。
特許審査基準 第III部 第2章 第3節 新規性・進歩性の審査の進め方 P8参照
ステップ3:副引用発明の認定の分析
ステップ3では、以下の項目をチェックします。
- チェック3-1:記載されている事項(記載されているに等しい事項)の認定は正しいか?
- チェック3-2:省略されている部分は正しいか?
- チェック3-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?
これらのチェック項目は、ステップ1と同じ作業になりますので、説明は割愛します。
ステップ4:動機付けの分析
このステップでは、以下の項目をチェックします。
- チェック4:以下のものが存在するか?
- ①技術分野の関連性
- ②課題の共通性
- ③作用、機能の共通性
- ④引用発明の内容中の示唆
このステップの分析が、一番苦労するところだと思っています。
審査官によっては、拒絶理由通知に動機付けを書いてくれている方もいるので、その場合には、その動機付けを分析します。
しかしながら、書いていない方も多くいるように思います。その場合には、どの動機付けが当てはまるか、自分で分析をする必要があります。(もちろん、よくわからなければ、審査官に直接問い合わせをすることも可能です。)
自分で分析する場合には、全ての項目をチェックすることになるので、結構な労力になります。しかしながら、だからこそ、効果的な主張ができるところでもあります。
①技術分野の関連性
主観になりますが、技術分野の関連性は、拒絶理由通知書内で記載されている「動機付け」の中でも、特に言及されているものと感じています。
先行技術調査では、FIやFタームなどの検索インデックスが使われるケースが多いので(母集団が、同じような技術分野であるので)、言及されることが多くなっているのかなと考えています。
ただ、ここで注意するべきなのは、審査基準の以下の記載です。
審査官は、主引用発明に副引用発明を適用する動機付けの有無を判断するに当たり、(1)から(4)までの動機付けとなり得る観点のうち「技術分野の関連性」については、他の動機付けとなり得る観点も併せて考慮しなければならない。
ただし、「技術分野」を把握するに当たり(注2)、単にその技術が適用される製品等の観点のみならず、課題や作用、機能といった観点をも併せて考慮する場合は、「技術分野の関連性」について判断をすれば、「課題の共通性」や「作用、機能の共通性」を併せて考慮したことになる。このような場合において、他の動機付けとなり得る観点を考慮しなくても、「技術分野の関連性」により動機付けがあるといえるならば、動機付けの有無を判断するに当たり、改めて「課題の共通性」や「作用、機能の共通性」について考慮する必要はない。
特許審査基準 第III部 第2章 第3節 新規性・進歩性の審査の進め方 参照
つまりは、技術分野の関連性の考慮だけではダメですよ、ということを審査基準が明記しています。
そのため、拒絶理由通知書に、技術分野の関連性に関する動機付けが書かれていたとしても、しっかりと他の動機付けが存在するかも、しっかり確認しましょう。
- 拒絶理由通知書に、技術分野の関連性に関する動機付けが書かれていたとしても、しっかりと他の動機付けが存在するかも、しっかり確認する。
②課題の共通性
課題の共通性も、拒絶理由通知書で、良く記載されているのを見かけます。
ここで大事なのは、「課題」というのは、引用文献に明記されていなくても、当業者にとって自明な課題であったり、当業者が容易に着想し得る課題であっても認められるということです。
本願の出願時において、当業者にとって自明な課題又は当業者が容易に着想し得る課題が共通する場合も、課題の共通性は認められる。審査官は、主引用発明や副引用発明の課題が自明な課題又は容易に着想し得る課題であるか否かを、出願時の技術水準に基づいて把握する。
特許審査基準 第III部 第2章 第3節 新規性・進歩性の審査の進め方 参照
そのため、単に、「引用文献にその課題が書いていないから動機付けとして適切ではない」という反論は適切ではありません。
この点を注意しつつ、分析することが大事だと考えています。
③作用、機能の共通性
この項目において、特段留意する点はないかなと考えています。(あったらすみません・・・)
ただ、「作用、機能って何?」と思うことが多々ありますので、審査基準に記載されている例を挙げておきます。
(3) 作用、機能の共通性
・・・
例4:
[請求項]
膨張部材を膨張させて洗浄布を接触させ、ブランケットシリンダを洗浄する印刷機。
[主引用発明]
カム機構を用いて洗浄布を接触させ、ブランケットシリンダを洗浄する印刷機。
[副引用発明]
膨張部材を膨張させて洗浄布を接触させ、凹版シリンダを洗浄する印刷機。
(説明)
主引用発明のカム機構も、副引用発明の膨張部材も、洗浄布を印刷機のシリンダに接触又は離反させる作用のために設けられている点に着目すると、主引用発明と副引用発明との間で作用は共通している。
④引用発明の内容中の示唆
この項目においても、特段留意する点はないかなと考えています。
少し気になることとしては、意見書において、「引用発明の内容中の示唆がないから組み合わせ出来ない」という主張のみをされているものを見かけることがあります。
恐らく、2008年の判例(平成20(行ケ)10096「回路用接続部材事件」)の影響だと思っているのですが、審査基準上も、この動機付けが絶対であるような旨の記載もありませんので、この主張のみで反論することは適切ではないと考えています。
この点は、留意する必要があるかと思います。
2以上の引用文献が、動機付けとともに、組み合わされている場合には、主に、以下のような2パターンが考えられます。(動機付けがない場合には、ステップ6の単なる寄せ集めの可能性があります。)パターン2の直列的な組み合わせの場合は、いわゆる「容易の容易」の論理となり、組み合わせが否定されることが多いと考えていますので、その点で反論することが可能だと考えています。
パターン1:主引用発明に、複数の副引用発明が、それぞれ組み合わされている場合
(例)以下の文献を組み合わせて、「洗浄タンクと衛星洗浄装置とを備えた大便器」とする。
文献1(主引用発明):大便器
文献2(副引用発明):大便器に設けられた洗浄タンク
文献3(副引用発明):大便器に設けられた衛星洗浄装置(例:ウォッシュレット)
(文献1と、他の2つの文献とが、直接的につながる。)
パターン2:主引用発明に、複数の副引用発明が、直列的に組み合わされている場合
(例)以下の文献を組み合わせて、「手洗い器を備えた洗浄タンクを有する大便器」とする。
複数の直列的な組み合わせと単なる寄せ集めの例3つ以上の文献の直列的な組み合わせ(容易の容易)の例としては、以下の文献を組み合わせて、「手洗い器を備えた洗浄タンクを有する大便器」とする場合が考えられます。
文献1(主引用発明):大便器
文献2(副引用発明):大便器に設けられた洗浄タンク
文献3(副引用発明):洗浄タンクに設けられた手洗い器
(文献1と、文献3とは、直接的につながらない。)
作業シートへメモする内容について
ステップ4では、動機付けにはどのようなものがあるかを見てきました。
この動機付けは、進歩性の判断をする上で要の部分であることから、引用文献中の、これと繋がる可能性がある記載は、しっかりとメモをしておく必要があると考えています。
私が先程提示した作業テンプレートにおいては、この動機付けに繋がる項目をメモする欄も設けていますので、より適切に、動機付けの分析をすることが可能であると考えています。(以下、再掲。)
- 動機付けは、進歩性の判断をする上で要の部分であることから、引用文献中の、これと繋がる可能性がある記載は、しっかりとメモをしておく必要がある。
ステップ5:設計変更等
このステップでは、以下の項目をチェックします。
- チェック5:一定の課題を解決するためのものか?
審査基準では、例え設計事項という判断をするにしても、「一定の課題を解決するためのもの」であることを求めています。
しかしながら、この点を看過している審査官が多いように思います。なので、設計事項という旨の拒絶理由が届いた場合には、それが「一定の課題を解決するためのもの」であるか、しっかり分析することが大事だと思います。
(1) 設計変更等
請求項に係る発明と主引用発明との相違点について、以下の(i)から(iv)までのいずれか(以下この章において「設計変更等」という。)により、主引用発明から出発して当業者がその相違点に対応する発明特定事項に到達し得ることは、進歩性が否定される方向に働く要素となる。さらに、主引用発明の内容中に、設計変更等についての示唆があることは、進歩性が否定される方向に働く有力な事情となる。
(i) 一定の課題を解決するための公知材料の中からの最適材料の選択(例1)
(ii) 一定の課題を解決するための数値範囲の最適化又は好適化(例2)
(iii) 一定の課題を解決するための均等物による置換(例3)
(iv) 一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設
計的事項の採用(例4及び例5)
これらは、いずれも当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないからである。
ステップ6:単なる寄せ集めか確認
このステップでは、以下の項目をチェックします。
- チェック6:機能的又は作用的に関連しているか?
このステップは、中々、分析が難しいところだと考えています。それは、拒絶理由通知に明記されていることが少なく、読み取ることも比較的難しいからです。
提示された複数の文献同士の組み合わせに動機付けが見当たらない場合には、提示された複数の文献により拒絶されている構成要素同士が、機能的又は作用的に関連しているか否か整理しましょう。
(この構成では、洗浄水タンクと音楽プレイヤーとの間に、何かしらの関連があることが限定されていません。)本願発明:「洗浄水タンクに、音楽プレイヤーを取り付けた大便器。」
引用文献1:「洗浄水タンクを備えた大便器。」
引用文献2:「音楽プレイヤー。」
(2) 先行技術の単なる寄せ集め
先行技術の単なる寄せ集めとは、発明特定事項の各々が公知であり、互いに機能的又は作用的に関連していない場合をいう。発明が各事項の単なる寄せ集めである場合は、その発明は当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内でなされたものである。先行技術の単なる寄せ集めであることは、進歩性が否定される方向に働く要素となる。さらに、主引用発明の内容中に先行技術の寄せ集めについての示唆があることは、進歩性が否定される方向に働く有力な事情となる。
特許審査基準 第III部 第2章 第2節 進歩性 P9参照
ステップ7:引用発明と比較した有利な効果の確認
このステップでは、以下の項目をチェックします。
- チェック7:異質な効果・際だって優れた効果を有しているか?
感覚的な話になってしまいますが、「異質な効果・際だって優れた効果」があるという理由のみで、進歩性が認められるケースというのは少ないかなと感じています。
なぜかというと、本願発明の構成が埋められているか否かは把握しやすいですが、「異質な効果・際だって優れた効果」かは、把握しにくいからです。
そのため、特許審査官は、本願発明の構成が埋められているのであれば、当然、本願発明の効果(「異質な効果・際だって優れた効果」)も奏するものとして、拒絶することが多いのではないかと考えています。
なので、「異質な効果・際だって優れた効果」の主張については、単独で主張するというよりも、他の項目と併せて主張するのが良いと考えています。
(1) 引用発明と比較した有利な効果の参酌
・・・
引用発明と比較した有利な効果が、例えば、以下の(i)又は(ii)のような場合に該当し、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものであることは、進歩性が肯定される方向に働く有力な事情になる。・・・
(i) 請求項に係る発明が、引用発明の有する効果とは異質な効果を有し、この効果が出願時の技術水準から当業者が予測することができたものではない場合
(ii) 請求項に係る発明が、引用発明の有する効果と同質の効果であるが、際だって優れた効果を有し、この効果が出願時の技術水準から当業者が予測することができたものではない場合
特許審査基準 第III部 第2章 第2節 進歩性 P9参照
ステップ8:阻害要因の確認
このステップでは、以下の項目をチェックします。
- チェック8:以下のものが存在するか?
- ①発明の目的に反するもの
- ②発明が機能しなくなるもの
- ③適用が排斥されているもの
- ④他の実施例より劣る例として挙げられているもの
このステップは、ステップ3の動機付けと並んで、重要な項目であると考えています。
動機付けと異なり、一つでも阻害要因が見つかれば、そこを主張していける点で、動機付けよりも主張がし易いと言えるかもしれません。
ただ、阻害要因を見つけるためには、ある程度、引用文献を読み込む必要があるため、時間がかかる作業になります。
なお、この阻害要因ですが、以下の項目をチェックする際に、見つかることも多いです。
- チェック1-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?
- チェック3-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?
ここでも使えることを踏まえると、これらの項目のチェックは、しておいて損はないと考えています。
阻害要因の例としては、副引用発明が以下のようなものであることが挙げられる。
(i) 主引用発明に適用されると、主引用発明がその目的に反するものとなるような副引用発明(例1)
(ii) 主引用発明に適用されると、主引用発明が機能しなくなる副引用発明(例2)
(iii) 主引用発明がその適用を排斥しており、採用されることがあり得ないと考えられる副引用発明(例3)
(iv) 副引用発明を示す刊行物等に副引用発明と他の実施例とが記載又は掲載され、主引用発明が達成しようとする課題に関して、作用効果が他の実施例より劣る例として副引用発明が記載又は掲載されており、当業者が通常は適用を考えない副引用発明(例4)
特許審査基準 第III部 第2章 第2節 進歩性 P10参照
最後に
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