ケーススタディ

事例1|機械系|拒絶理由通知分析|進歩性|特許第6685499号(浴室用カウンター)

進歩性について、色々教えてもらってもさ、実際に手を動かさないと、頭に入ってこないんだよね・・・。

この記事は、このようなことを考えている方々にとって、有益となる情報を提供できればと考えています!

ここでは、進歩性に関する拒絶理由の分析の仕方を、より理解していただけるように、ケーススタディを行います

このケーススタディの内容が、皆様のお仕事に直結し、少しでも作業効率を上げることに貢献したのであれば幸いでございます。

それでは、早速、分析をしてみましょう!

↓このページの内容は、以下の動画からも確認することができます。↓

目次

はじめに

この事例1では、以下の公報等を利用させていただいております。
文章自体の改変は行いませんが、番号を振ったり、図面には色を塗ったり等の改変が行われています。(改変箇所は明記いたします。)
予め、ご承知おきいただければ幸いです。

  • 特開2015-192849
  • 特開2013-179987
  • 登録実用新案第3091960

また、このページでの私の意見は、あくまでも私見であり、必ずしも正しいとは限りません。
この点も、予めご承知おきいただければ幸いです。

拒絶理由分析の作業フロー自体は、審査基準に沿っているものですので、正しくないとは言いづらいものだと思います
作業フローになれるというスタンスで、このケーススタディに臨んでいただければ幸いです

事前準備

拒絶理由の分析をする前に、以下のものをご用意ください。(リンクのものです。)

前提のお話

拒絶理由の分析をする前に、状況を整理します。
皆様は、以下のような経緯のもと、特許庁から拒絶理由通知書が届き、現在に至ったものであると想定していただければと存じます。

自社で本願発明に係るアイデアを着想
自社で出願書類を作成
2014/9/30 特許出願
2018/8/9 拒絶理由通知書の接受 ← 現在

本願発明の整理

ここでは、時間等との関係で、請求項1のみ整理します。

(自社で発明・出願書類の作成をしたものであったとしても、)作業効率を上げるため、作業用テンプレートシートを埋めていく作業をしていただければと思います。基本的には、明細書の情報を、シートにコピペする形になるかと思います。

発明の「課題・目的」や、「示唆」に関する記載も、後々の分析の時(特に「動機付け」の時)に活用できる可能性がありますので、できる限りメモしておきましょう
(私は初めから整理していますが、ここらへんは、引用文献の記載等を踏まえつつ、書き足す形でも良いと思います。)

「請求の範囲」は、しっかりと整理しないといけないので、私は、いつも以下のことをしています。
情報の場所がまとまるので(何度も同じ個所を見なくて済むので)、おすすめです!

  • 明細書中の対応する番号の付記
  • 主要な構成要素の色付け
  • 図面に、構成要素に対応した色付け

参考までに、私が整理した、本願発明の概要です。(これは、ブログ用で、普段は作成していません。)

  • 課題:カウンターが壁にくっついていたので、その接続部分に水垢や石鹸カスが溜まりやすかった。
  • 目的:カウンターの側端面に付着した水垢や石鹸カスを手軽に落としたい。
  • 解決手段1:カウンター(300)の周囲に設けられた全ての側端面(330)を、浴室の壁(110、120)および浴槽(200)から離間させる。
  • 解決手段2:カウンターの下面に取り付けられた支持材の一端を、前記カウンターの下面の側端面から離れた位置に取り付ける。

また、私が埋めた作業シートを共有いたします。

  • 「請求の範囲」において追記したところは、「(赤字)」にしております。
  • また、単語の色付け、図面の色付けもしております。

図2
図4

拒絶理由通知書の確認

ここでは、拒絶理由通知書(拒絶理由(条文)、拒絶された請求項、引用された文献等)の内容を確認します。
ここを間違えてしまいますと、正しい主張が出来なくなりますので、しっかりとご確認いただければと思います。

拒絶理由通知書も、本願の整理の際と同様に、私は以下のことをしています。

  • 主要な構成要素の色付け

参考までに、私が整理した、拒絶理由通知書の概要です。(これは、ブログ用で、普段は作成していません。)

  • 請求項1は、引用文献1、2より、進歩性が否定されている。
  • 引用文献1には、カウンタの周囲に設けられた全ての側端面を、浴室の壁および浴槽から離間させる点が記載されている。
  • 引用文献2には、カウンターの下面に取り付けられた支持材の一端を、前記カウンターの下面の側端面から離れた位置に取り付ける点が記載されている。
  • 技術分野が関連するため、両者の組み合わせは容易。

また、私が作業したものはこちらになります。

  • 追記したところは、「(赤字)」にしております。
  • また、単語の色付けもしております。

なお、引用文献へのリンクは、以下の通りです。
拒絶理由を分析するまえに、準備しておきましょう!

(拒絶理由通知書の構成について整理したい方はこちら↓)

拒絶理由通知書ってどんな構成をしているの?見方を教えて!この記事では、「拒絶理由通知がどのような構成をしているのか、いまいちわかっていないんだよね。」ということを思っている方々に向けて、拒絶理由通知書の見方を、実例を利用して整理しています。...

拒絶理由通知分析

ステップ1:主引用発明の認定の分析

拒絶理由通知において、引用文献1に記載された発明(主引用発明)は、以下のように認定されています。

  • 単語の色付け、図面の色付けをしております。

 引用文献1には、浴室10の第1の壁面410(本願の「壁」に相当。)に取り付けられるカウンタ250(本願の「カウンター」に相当。)において、浴室10の第1の壁面410に固定した第1の支柱261及び第2の支柱263(本願の「支持材」に相当。)がカウンタ250を支持することが記載されている。([0020]-[0029]、図1参照。)
また、図2-4から、カウンタ250の右端部251、左端部252、後端部253及び前端部(本願の「全ての側端面」に相当。)が浴室10の第1の壁面410、第2の壁面420及びエプロン150又は浴槽110から水平方向に離間していることが把握できる。

また、隙間D11、12、13が「約3~10センチメートル」であり、隙間D11、12、13が「3cm以上である場合には、それらの隙間に手や掃除用具を挿入することができ…カウンタ250の端部などを容易に洗浄することができる」ことが記載されている。([0027]-[0029]参照。)

図4

 

ここから分析を始めていきますが、大事なのは、以下のことです!

  • 審査官が作成した拒絶理由通知書の内容を鵜吞みにしないこと。

引用発明の認定が正しいかを分析する際には、拒絶理由通知書の内容を参考にしつつ、分析漏れがないように作業用シートをしっかりと埋めていきましょう。

発明の「課題・目的」や、「示唆」に関する記載も、後々の分析の時(特に「動機付け」の時)に活用できる可能性がありますので、存在する場合にはメモしておきましょう。

参考までに、私が作業したものはこちらになります。

図4

作業をする際に、私は、以下のようにしています。

  • 主引用発明の認定は、なるべく、本願で使われている用語を使用して実施する。

そうする理由としては、一番には、比較がしやすいことがあります。
(このような認定の仕方をしている審査官もいますが、「正確な認定ではない」という意見も聞くことがあります。そして、それには一理あるとは思っています。本願で使われている用語を使用する際には、そこで誤認定をしないようにご留意ください。)

結局は、ご自身がやりやすい、もしくは、しっくりする方でご対応いただければ幸いです。

チェック1-1:記載されている事項(記載されているに等しい事項)の認定は正しいか?

これ以降は、拒絶理由通知書の記載と、作業シートで整理した内容とを比較します。
まず、引用文献1に記載されている事項の認定についてですが、拒絶理由通知書の認定に誤りはないように思います。

チェック1-2:省略されている部分は正しいか?

拒絶理由通知書において、認定が省略されている構成はないように思います。

チェック1-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?

ここでは、引用文献1の中に、他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるかを確認します。

「他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載」とは、以下のようなものを想定しています。

  • 引用文献1ならではの構成を示す記載で、他の構成とすることを阻害するような記載。
  • 他の構成とすることを示唆するような記載。

このような記載は、進歩性の判断の際に、影響を及ぼす可能性があるため、見つけられた範囲で整理しておくのが良いと思っています。
(他の引用文献との関係で、気が付く場合もあるため、ここで時間をかけ過ぎる必要はありません。)

ここで、私が気になったのは、引用文献1の段落【0024】、【0040】の以下の記載です。

【0024】
図1および図2に表したように、浴槽110と第1の壁面410との間において、第2の壁面420の洗い場210の側に沿うようにカウンタ250が設けられている。使用者は、カウンタ250に腰掛けることができる。

【0040】
これによれば、第1の支柱261および第2の支柱263は、カウンタ250の前方部および後方部を左右方向にそれぞれ貫通し、カウンタ250を支持している。そのため、使用者がカウンタ250に腰掛けても、カウンタ250は、十分な強度を確保することができる。また、図5に表したように、カウンタ250の下方において、カウンタ250を第2の壁面420に片持ち支持する例えば支持材などは不要である。そのため、カウンタ250の下方が雑然とした感じとなることを抑えることができる。

もう少し整理すると、段落【0024】には、使用者が、カウンタに腰を掛ける旨の記載があります。

そして、段落【0040】には、「第1の支柱261および第2の支柱263は、カウンタ250の前方部および後方部を左右方向にそれぞれ貫通し、カウンタ250を支持している」ため、腰を掛けても大丈夫な強度を確保している旨の記載があります。

つまりは、第1の支柱261および第2の支柱263は、カウンタの強度を確保する上で重要な構成になっているものと解されます。

これは、第1の支柱261および第2の支柱263を、他の構成とすることを阻害する可能性のある記載だと思います。

加えて、段落【0040】には、第1の支柱261および第2の支柱263の構成により、カウンタ250の下方が雑然とした感じとなることを抑えることができる旨の記載があります。

つまりは、この記載も、第1の支柱261および第2の支柱263を、他の構成とすることを阻害する可能性のある記載だと思っています。

  • 第1の支柱261および第2の支柱263は、強度を確保するため、及び、カウンタ250の下方が雑然とした感じとなることを抑えるために重要な役割を担っている。

このような記載は、本願発明と、引用発明との違いを意識していると、見つけやすいと感じています。

ステップ2:相違点の認定の分析

ここでも、ステップ1で埋めた作業用シートを使って、しっかりと分析しましょう。
拒絶理由通知書において、相違点は、以下のように認定されています。

 引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明1」という。)と、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)を対比すると、以下の点で相違し、その他の点については一致する。

(相違点1)本願発明1は「前記カウンターの下面に一端が取り付けられた支持材の他端を、前記壁に取り付けて、前記カウンターを支持して、前記支持材の一端は、前記カウンターの下面の前記側端面から離れた位置に取り付けられている」のに対し、引用発明1は前記構成を有しない点。

チェック2-1:相違点の認定は正しいか?

作業用シートで、×が付いているところが分析する必要があるところになります。
相違点の認定に誤りはないように思います。

チェック2-2:本願発明の認定は正しいか?

相違点の認定に誤りがないので、ここのチェックは、基本不要になります。

ステップ3:副引用発明の認定の分析

拒絶理由通知において、引用文献2に記載された発明(副引用発明)は、以下のように認定されています。

  • 単語の色付け、図面の色付けをしております。

 前記相違点1について検討すると、引用文献2には、棚板部材2(本願の「カウンター」に相当。)の下面に上面13(本願の「一端」に相当。)が取り付けられたブラケット1、1(本願の「支持材」に相当。)の他端を、壁面3(本願の「壁」に相当。)に取り付けて、棚板部材2を支持することが記載されている。([0010]-[0019]、図1-5参照。)
また、図5から、ブラケット1、1の一端が、棚板部材2の下面の側端面から離れた位置に取り付けられていることが把握できる。

図1
図5

副引用発明の認定が正しいかを分析する際にも、拒絶理由通知書の内容を参考にしつつ、分析漏れがないように作業用シートをしっかりと埋めていきましょう。

発明の「課題・目的」や、「示唆」に関する記載も、後々の分析の時(特に「動機付け」の時)に活用できる可能性がありますので、存在する場合にはメモしておきましょう。

参考までに、私が作業したものはこちらになります。

図5

チェック3-1:記載されている事項(記載されているに等しい事項)の認定は正しいか?

拒絶理由通知書の記載と、作業シートで整理した内容とを比較します。
まず、引用文献2に記載されている事項の認定についてですが、拒絶理由通知書の認定に誤りがあるのではないかと考えています。

その理由は、引用文献2において、ブラケット1、1の一端が、棚板部材2の「下面」に取り付けられていると言えないのではないかと考えているからです。

本願の段落【0019】には、以下のような記載があります。

【0019】
支持材350は、その一端が、カウンター300の下面320において、側端面330から離れた位置に、ネジなどの締結具351によって取り付けられている。また、支持材350の他端は、正面壁110の、カウンター300の側端面330の下端よりも所定寸法離れた下方位置に、ボルトなどの締結具352により取り付けられている。

この記載、及び、図2を踏まえると、本願においては、支持材350の一端は、カウンター300の下面320に、ネジなどで固定され、ネジなどは、カウンター300の上面に現れていないことは明らかです。

つまりは、本願においては、引用文献2に記載されたようなブラケット1、1が、棚板部材2を挟持することにより固定する構成は含まれていないと言えるかと思います。

なので、以下の点を、意見書で主張することが望ましいと考えています。

  • 引用文献2の認定誤りが認められる。
  • 本願においては、引用文献2に記載されたようなブラケット1、1が、棚板部材2を挟持することにより固定する構成は含まれていない

チェック3-2:省略されている部分は正しいか?

省略はされていないようです。

ステップ4:動機付けの分析

拒絶理由通知書には、以下のような記載がありますので、その記載を確認します。

 引用発明1及び引用文献2に記載の発明はそれぞれ浴室用カウンター及び洗面用具用棚に関し、技術分野が関連するので、引用発明1において、前記引用文献2に記載された発明を採用して、カウンターの下面に一端が取り付けられた支持材の他端を、壁に取り付けて、カウンターを支持するようにするとともに、支持材の一端が、カウンターの下面の側端面から離れた位置に取り付けられるようにして、本願発明1となすことは、当業者が容易になし得るものである。

チェック4:以下のものが存在するか?
①技術分野の関連性・②課題の共通性・③作用、機能の共通性・④引用発明の内容中の示唆

チェック3で、引用文献2の認定誤りがありそうなので、その主張のみで対応することも可能だと思います。
しかしながら、より効果的な主張ができる可能性もあるため、仮に、引用文献2の認定誤りがなかったとして、以降のチェック項目も確認することがベターだと思います。

拒絶理由通知書には、動機付けとして、技術分野が関連するとのみ記載されています

ここで、技術分野の関連性のみが記載されている場合には、注意が必要です。
なぜなら、審査基準には、以下の記載があるからです。

審査官は、主引用発明に副引用発明を適用する動機付けの有無を判断するに当たり、(1)から(4)までの動機付けとなり得る観点のうち「技術分野の関連性」については、他の動機付けとなり得る観点も併せて考慮しなければならない。
審査基準 第III部第2章第2節進歩性 P4参照

そのため、技術分野の関連性以外の動機があるかも検討します。

結論としては、他の動機付けを否定することは難しそうだと考えています。

作業シートの「課題・目的」のところを見ると、引用文献1も引用文献2も、ある程度の設置安定性(強度)を持たせることが課題としてあると認められるため、「課題の共通性」に関する動機の存在を否定できないからです。

  • 技術分野の関連性以外にも、課題の共通性に関する動機の存在が否定できず、動機を否定することは難しい。
  • この拒絶理由通知において、「設計変更」、「単なる寄せ集め」と判断されているところはなさそうです。
  • そのため、ステップ5、ステップ6は省略します。

ステップ7:引用発明と比較した有利な効果の確認

ここでは、「チェック3-1」で明らかになった、引用文献2の認定の誤りと言えそうな構成について検討します。
なぜなら、本願発明が、引用発明と単に構成が違うだけでなく、その違いにより優れた効果もあると主張できた方が効果的だからです。

チェック7:異質な効果・際だって優れた効果を有しているか?

結論から言うと、異質な効果・際だって優れた効果を有しているとは主張できないと考えています。

本願においては、引用文献2でも埋められない構成は、上記「チェック3-1」で示した通り、「支持材350の一端は、カウンター300の下面320に、ネジなどで固定され、ネジなどは、カウンター300の上面に現れていない」というものですが、
この構成が有する効果については、本願の明細書には記載されていません。

そのため、その効果は、「明細書又は図面の記載から当業者が推論できる」もので主張するしかありません。
(そうでないものは、審査官は参酌すべきでないと、基準には記されています。)

引用発明と比較した有利な効果が、例えば、以下の(i)又は(ii)のような場合に該当し、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものであることは、進歩性が肯定される方向に働く有力な事情になる。
審査基準 第III部第2章第2節進歩性参照

ここで、推論できる効果としては、ネジなどが、カウンター300の上面に現れていないので(カウンター上面に極端な凹凸ができないので)、水垢が溜まりにくい、清掃性・意匠性が高い、くらいかなと考えています。

ただ、この効果を主張することで、本願発明と、引用発明との差異が、より浮彫になるものだと思います。
なので、主張することが有効
だと思います。

  • 異質な効果・際だって優れた効果を有しているとは主張することは難しい。
  • しかしながら、引用発明との差異をより浮彫にするために、「水垢が溜まりにくい、清掃性・意匠性が高い」旨の効果を主張することが有効。

ステップ8:阻害要因の確認

チェック8:以下のものが存在するか?
①発明の目的に反するもの・②発明が機能しなくなるもの・③適用が排斥されているもの・④他の実施例より劣る例として挙げられているもの

ここでは、上記「チェック1-3:他の文献との組み合わせに影響を及ぼす記載があるか?」で整理した、引用文献1に関する以下の事項を検討したいと思います。

  • 第1の支柱261および第2の支柱263は、強度を確保するため、及び、カウンタ250の下方が雑然とした感じとなることを抑えるために重要な役割を担っている。

引用発明1は、強度を確保するため、及び、カウンタ250の下方が雑然とした感じとなることを抑えるために、「第1の支柱261および第2の支柱263は、カウンタ250の前方部および後方部を左右方向にそれぞれ貫通し、カウンタ250を支持している」という構成を有しています(段落【0040】)。

ここで、引用文献1及び2から、本願発明に至るためには、引用発明1の、「(壁面2か所により固定される)第1の支柱261および第2の支柱263の構成」に代えて、引用文献2の「(壁面1か所で片持ちの)ブラケット1、1」を適用することになりますが、
仮に、適用した場合には、

  • 支持材が(壁面1か所で片持ちの)ものに代わるので、強度が低下する、
  • カウンターの下方に支持材が飛び出すため、カウンター下方が雑然とする

ことになります。

これは、「主引用発明がその目的に反するものとなる」ものと言えるのではないでしょうか?

阻害要因の例としては、副引用発明が以下のようなものであることが挙げられる。
(i) 主引用発明に適用されると、主引用発明がその目的に反するものとなるような副引用発明(例1)
(ii) 主引用発明に適用されると、主引用発明が機能しなくなる副引用発明(例2)
(iii) 主引用発明がその適用を排斥しており、採用されることがあり得ないと考えられる副引用発明(例3)
(iv) 副引用発明を示す刊行物等に副引用発明と他の実施例とが記載又は掲載され、主引用発明が達成しようとする課題に関して、作用効果が他の実施例より劣る例として副引用発明が記載又は掲載されており、当業者が通常は適用を考えない副引用発明(例4)
審査基準 第III部第2章第2節進歩性 P11参照

そのため、私は、引用発明1の、「第1の支柱261および第2の支柱263の構成」に代えて、引用文献2の「ブラケット1、1」を適用することには、阻害要因があるものと考えます。

  • 引用発明1がその目的に反するものとなるため、引用発明1の「第1の支柱261および第2の支柱263の構成」に代えて、引用文献2の「ブラケット1、1」を適用することには、阻害要因がある

分析結果の整理

ここでは、今までの分析結果を整理します。

今までの分析結果を踏まえると、この拒絶理由通知に対する対応としては、以下のものが効果的だと考えます。

  • 引用文献2の認定誤りが認められる。本願においては、引用文献2に記載されたようなブラケット1、1が、棚板部材2を挟持することにより固定する構成は含まれていない。(チェック3-1参照)
  • 異質な効果・際だって優れた効果を有しているとは主張することは難しい。しかしながら、引用発明との差異をより浮彫にするために、効果を主張することが有効。(チェック7参照)
  • 引用発明1がその目的に反するものとなるため、引用発明1の「第1の支柱261および第2の支柱263の構成」に代えて、引用文献2の「ブラケット1、1」を適用することには、阻害要因がある。(チェック8参照)

今後の対応の整理

ここでは、整理した分析結果を利用して、今後の対応を検討します。
分析結果を整理するタイミングで、今後の対応も検討できるものだと思いますが、
分析結果とは別の情報(事業の都合等)で、今後の対応が変わる可能性もゼロではないので、分けています。

参考までに、私が作業したものはこちらになります。

  • 意見書において、引用文献2の認定誤りが認められる旨(本願においては、引用文献2に記載されたようなブラケット1、1が、棚板部材2を挟持することにより固定する構成は含まれていない旨)主張する。(チェック3-1参照)
  • 意見書において、引用発明との差異をより浮彫にするために、「水垢が溜まりにくい、清掃性・意匠性が高い」旨の効果を主張する。(チェック7参照)
  • 意見書において、引用発明1がその目的に反するものとなるため、引用発明1の「第1の支柱261および第2の支柱263の構成」に代えて、引用文献2の「ブラケット1、1」を適用することには、阻害要因がある旨主張する。(チェック8参照)

この案件に関しては、意見書において上記主張をすれば、拒絶理由は解消すると思いますし、仮に、解消しなくても、現在の拒絶理由通知書の維持は難しいと思いますので、いきなり拒絶査定されることはないと思います。

ここまでで、拒絶理由の分析が終わりましたので、報告書シートの作成に移ります
(基本的に、拒絶理由の分析と、意見書・補正書の作成はセットであり、拒絶理由の分析だけで報告書シートを作成することは少ないと思います。)

報告書シートの作成自体は、基本的に、今まで整理してきたことを、コピペするだけですので、私の方で作成したものを共有いたします。

参考資料

この記事内で、私が整理した、作業用シート、報告書シートを、参考までにダウンロードできるようにいたします。
少しでもご参考になれば幸いでございます。

作業用シートのダウンロード

報告用シートのダウンロード

最後に

もし何か気になることや知りたいことなどがございましたら、
・コメント、
・お問い合わせフォーム、若しくは、
twitterにて
ご連絡いただければ幸いでございます。
可能な範囲で対応させていただきます!

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