雑記

中間処理でも活用できるかも?ユニクロのセルフレジと関係する審決取消請求事件を整理!

ユニクロのセルフレジと関係する訴訟では、なぜ無効から有効に変わったのだろうか?

この記事は、このようなことを考えている方々にとって、有益となる情報を提供できればと考えています!

ここでは、ユニクロのセルフレジと関係する審決取消請求事件で、該当する特許権が、どういった理由で無効から有効に転じたのかを、審決も踏まえつつ整理してみたいと思います

判決の前に、関連する審決を知りたいという方は、以下の記事をご確認ください。

判決結果の推測に繋がる?ユニクロのセルフレジと関係する特許無効審判事件を分析!この記事は、「ユニクロのセルフレジと関係する特許は、なぜ無効から有効に変わったのだろうか?」と考えている方々に向けたものとなっています。 ユニクロのセルフレジと関係する特許が無効と判断された特許無効審判事件(無効2019-800041)を分析をして、今般の判決で、該当する特許権が、無効から有効に転じたのか考えてみたいと思います。...

個人的には、審査実務にも応用できる判決だと思いますので、是非一度ご覧いただければ幸いです!

それでは、早速、整理をしていきます!

結論

結論から先に言いますと、判決の要点は、以下のとおりです。

  • 審決で認定された甲1発明2に誤りがある。
  • 甲1発明2の「読取り/書込みモジュール200」は、(対比される)本件発明の「読取装置」には欠かせない「外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能」を有するものではない。(技術常識も参酌。)
  • 甲1発明2の「読取り/書込みモジュール200」が単体で、本件発明と対比されるべき「読取装置」であると認めることはできない。

つまりは、審決では本件発明1と甲1発明2との対比は行われていましたが、
この判決では、対比の前の「甲1発明2の認定」で誤りがあると判断されています

そして、ここから以下の点が読み取れると思っており、それは中間処理対応でも活用し得るものだと考えています。

  • 技術常識を考慮して請求項に記載されている用語の意義を解釈し、その点を主張することも有効。

なお、「技術常識を考慮して請求項に記載されている用語の意義を解釈」すること自体は、審査基準に記載されていることから、上記の点は、少なくとも審査基準に反するようなことではないと考えています。

それでは、以下、判決を整理していきます!

審決取消請求事件の経緯(概要)

判決の分析をする前に、状況を整理します。
判決に至るまでの簡単な経緯は以下の通りです。(ほぼ、審決と一緒です・・・w)

原告:株式会社 アスタリスク
被告:株式会社 ファーストリテイリング

平成31年1月25日 特許権の設定登録(特許6469758号
令和1年 5月22日 審判請求書
令和2年 1月14日 訂正請求書
※請求項1の記載を訂正。
令和2年 8月13日 審決(無効2019-800041)※請求項1、2、4が無効。請求項3が有効。
令和3年 5月20日  判決  ← 今回整理するもの

※請求項1、2、4の無効を取り消し。請求項1~4が有効。

判決の概要(ポイントの整理)

  • この記事では、取消事由A―2(甲1発明2の認定の誤り)を整理する。
  • 取消事由A―2を理解するために、まず、本件発明1(訂正後の請求項1)、甲1発明2の整理をする。

この判決は、全部で191頁くらいあります・・・
そのため、ポイントを絞って分析するために、審決の内容を整理したいと思います。

まず、判決の主文ですが、以下の記載があります。

主 文
1 特許庁が無効2019-800041号事件について令和2年8月6日にした審決のうち,「特許第6469758号の請求項1,2及び4に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。
2 被告の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,被告の負担とする。

そして、判決の結び部分を見ると、以下の記載があります。

10 以上によると,原告らが主張する取消事由A-2は理由があるが,被告が主張する取消事由はすべて理由がない。
したがって,原告らの請求には理由があり,被告の請求には理由がない。
よって,主文のとおり判決する。

これらの記載を踏まえて、この記事では、判決のうち、取消事由A-2を整理いたします。

取消事由A-2とは、原告による「甲1発明2の認定の誤り」という主張になります。
そして、甲1発明2とは、審決において、原告の特許権(請求項1、2,4)を無効にしたものとなります。

取消事由A-2の理解には、本件発明1(訂正後の請求項1に係る発明)と甲1発明2の理解が重要となりますので、それらも整理いたします。
(既に整理できているという方は、これらを飛ばして、「取消事由A―2(甲1発明2の認定の誤り)の裁判所の判断の整理」へ飛んでいただければと思います。)

なお、この裁判では、原告と被告は、以下のような主張をしています。
理由ありと判断された点(この記事で整理する点)にはピンク、理由なしと判断された点には青を付しています。

原告 被告
取消事由A―1
(手続違反)
左取消事由に対する反論
取消事由A―2
(甲1発明2の認定の誤り)
左取消事由に対する反論
取消事由A―3
(甲1発明2を主引用例とする本件発明1の相違点の認定,
容易想到性の判断の誤り)
左取消事由に対する反論
取消事由A―4
(甲1発明2を主引用例とする本件発明2の容易想到性の判断の誤り)
左取消事由に対する反論
取消事由A―5
(甲1発明2を主引用例とする本件発明4の容易想到性の判断の誤り)
左取消事由に対する反論
右取消事由に対する反論 取消事由B―1
(訂正要件違反)
右取消事由に対する反論 取消事由B―2
(甲1発明1,3を主引用例とする本件発明1,3の相違点の認定及び新規性の判断の誤り)
右取消事由に対する反論 取消事由B-3
(甲1発明1,3を主引用例とする本件発明1,3の容易想到性の判断の誤り)
右取消事由に対する反論 取消事由B―4
(甲1発明2を主引用例とする本件発明1,3の相違点の認
定及び新規性の判断の誤り)
右取消事由に対する反論 取消事由B-5
(甲1発明2を主引用例とする本件発明3の容易想到性の判断の誤り)
右取消事由に対する反論 取消事由B-6
(甲2発明を主引用例とする本件発明1,3の相違点の認定の誤り,
本件発明3の容易想到性の判断の誤り)
右取消事由に対する反論 取消事由B-7
(明確性要件違反)

 

本件発明1(訂正後の請求項1)の確認

  • 本件発明1の「読取装置」は、シールド部44(電波吸収シート40の外側に電波反射シート38が配されている)により、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有している。

ここでは、訂正後の請求項1の内容を、簡単に確認いたします。

訂正後の請求項1は、以下の通りです。
下線部分は訂正箇所、赤字部分は私が追記した箇所になります。)

黄色ハイライト部分
は審決における相違点1-1に関係する構成、緑色ハイライト部分は審決における相違点1-2に関係する構成、ピンク色ハイライト部分は「判決で争点となった構成」を示しています。

【請求項1】
物品に付されたRFタグ(12)から情報を読み取る据置式の読取装置(20)であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナ(60)と、
上向きに開口した筺体(24)内に設けられ、前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部(44)と、
を備え、
前記筺体および前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置

【出典】図3

なお、請求項上には明記されていませんが、判決では、読取装置が、シールド部44(電波吸収シート40+電波反射シート38)により、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有していることが言及されています。

この点、頭の片隅にでも置いておいていただければ幸いです。

もし、「もう少し本願発明1の説明が欲しい!」という方がいらっしゃいましたら、以下の、オモチ様の記事を是非ご覧になってください!
とても分かりやすく、技術の説明をしてくださっています!

106_ユニクロのセルフレジ 特許侵害訴訟(追記&修正あり)

甲1発明2の確認

  • 読取り/書込みモジュール200では、吸収性発泡体214の外側に外壁212が配置されている。
  • 読取り/書込みモジュール200の外壁212の材質は限定されていない。
  • 読取り/書込みデバイス102では、吸収性発泡体の外側に金属製外側パネルが配置されている。

ここでは、「甲1発明2」の内容を、簡単に確認いたします。

「甲1発明2」とは、審決において引用された甲第1号証に記載された発明のひとつで、審判官が認定したものになります。

甲第1号証は、米国特許第9245162号明細書であり、
「甲1発明2」の内容は、以下の通りです。

黄色ハイライト部分
は審決における相違点1-1に関係する構成、緑色ハイライト部分は審決における相違点1-2に関係する構成、ピンク色ハイライト部分は「判決で争点となった構成」を示しています。

 [甲1発明2]
読取り/書込みモジュール200であって、
その頂部に、RFIDタグを保持している対象物を載置キャビティ202に入れることを可能にする挿入アパーチャ106を備え、
載置キャビティ202は4つの垂直側壁204~210によって区切られ、各垂直側壁204~210は金属で作られ、
各垂直側壁204~210はアンテナも備え、これらのアンテナは、データをRFIDタグから読み取ることが可能な読取り手段に接続され、
4つの垂直側壁204~210および載置キャビティ202を取り囲む外側壁212を備え、
外壁212と4つの垂直側壁204~210との間に配置され、RFIDタグの読取り/書込みに使用される電波を吸収するために設けられる、吸収性発泡体214を備え、
重量計も備え、そのプレートは載置キャビティ202の底壁を形成する、
読取り/書込みモジュール200。」

なお、判決では、読取り/書込みモジュール200が、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有するか否かが争われています。
そのため、もう少しだけ、甲1発明を整理したいと思います。

繰り返しにはなってしまいますが、読取り/書込みモジュール200は、以下の図に示すような三層構造となっています。

特に、以下の点を、頭の片隅に置いておいていただければと!

  • 読取り/書込みモジュール200では、吸収性発泡体214の外側に外壁212が配置されている。
  • 読取り/書込みモジュール200の外壁212の材質は限定されていない。

また、判決では、読取り/書込みモジュール200が、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有するか否かを議論する際に、読取り/書込みモジュール200が装着される「読取り/書込みデバイス102」の構成が出てきます。

そのため、読取り/書込みデバイス102の構成も、ざっくりと整理いたします。

読取り/書込みデバイス102は、読取り/書込みモジュール200が挿入される構造を有しており、その構造は以下の図に示すような三層構造となっています。

特に、以下の点を、頭の片隅に置いておいていただければと!

  • 読取り/書込みデバイス102では、吸収性発泡体の外側に金属製外側パネルが配置されている。

取消事由A―2(甲1発明2の認定の誤り)の裁判所の判断の整理

ここでは、原告が主張する「取消事由A―2(甲1発明2の認定の誤り)」が、裁判所において、どのように判断されたのかを整理いたします。

原告の主張

まず、原告は、以下の主張をしています。

(1) 本件審決は,甲1発明2の認定において,「読取り/書込みモジュール200」を単体で認定している。
しかし,甲1発明は,液体を含むものや水分量が多いものに貼付されたRFIDタグの効率的な読み取りができないという欠点を改善し,対象物のタイプにかかわらず,既知のRFID読取りデバイスよりも効率的な,タグの迅速な読取りを実施することを可能にするRFIDタグの読取りデバイスを提案するという目的(甲1の訳文3頁23行~32行)を達成するために,対象物を載置する載置キャビティの頂部に形成される挿入アパーチャの周囲に,上方に延在する防壁を配置させて,防壁を通して挿入アパーチャにアクセスするためのアクセス開口部を設けたものである。
甲1発明は,「読み取り/書き込みデバイス」として,防壁及びアクセス開口部を備えて初めて発明として意味をなすものであるから,「読み取り/書き込みデバイス」のパーツにすぎず,防壁及びアクセス開口部を備えることがない「読取り/書込みモジュール200」単体を発明として抽出することはできない。
・・・
以上のとおり,本件審決は,甲1発明2を「読取り/書込みモジュール200が内部に組み込まれた読み取り/書き込みデバイス」として認定すべきであったところ,「読取り/書込みモジュール200」として認定した誤りがある。

つまりは、原告は、甲1発明において、「読取り/書込みモジュール200」単体としては発明として意味をなさないから、審決において「読取り/書込みモジュール200」単体で認定をしていることに誤りがあると言っています。

  • 「甲1発明において、「読取り/書込みモジュール200」単体を発明として認定することが可能か?(「読取り/書込みモジュール200」単体が発明として意味をなすか)」が論点。

被告の主張

被告は、上記論点に関し、主に以下のような主張をしていますが、いずれも認められずに、大きな議論ともなっていないと感じたため、詳細は割愛します。

  • 水分を含まない物に使用する場合には「防壁」は不要であるため,水分を含まない物に使用する場面を念頭に置くと,甲1発明2は読取装置に必 要な要素をすべて備え,これを単体で認定することができる。
  • 甲1発明2のように,読取装置を独立した発明として把握する公知文献,公知技術は枚挙に暇がない。
  • 本件審決による甲1発明2の認定は,本件発明と対比するのに必要な範囲で過不足なく認定を行うべきであるという過去の裁判例に照らして正しい。

裁判所の判断

ここでは、裁判所が、上記論点に関し、どのような判断を行ったのか整理します。

私としては、裁判所は、ざっくりと以下の流れで、判断をしているものと理解しています。

  • 0.(前提として、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能が、本件発明1の「読取装置」には欠かせないものとして整理。)
  • 1.外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能(シールドの機能)を有するための構成に関する技術常識を整理
  • 2.甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」の技術的意味の整理
  • 3.甲1発明において、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有するのがどの構成か整理
  • 4.甲1発明の「吸収性発泡体214」の外側に設けられる「外壁212」の材質によっては、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有するか検討
  • 5.結論(甲1発明において、「読取り/書込みモジュール200」単体を発明として認定することはできない)

この流れを踏まえて、裁判所の判断を整理していきます!

1.外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能(シールドの機能)を有するための構成に関する技術常識を整理

この点に関し、裁判所では、以下の判断がなされています。

(ア) 読取装置において,読取性能向上のために,電波吸収層の外側に反射層を設けてシールド部を2層構造とすることに関しては,本件出願日当時,次の文献があった。

・・・・

(イ) 上記(ア)の各文献によると,電磁波を吸収するためのシールド部には,吸収体と,その裏側に電磁波を反射させるための反射体(金属)を設けることが,本件出願日当時の技術常識であったと認められる。

この技術常識を踏まえると、甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」は、シールド部として機能していないのではないかという疑問に行き着くかと思います。

そこで(?)、裁判所は、次の項目で、甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」の技術的意味を整理しています。

2.甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」の技術的意味の整理

ここでは、裁判所は、以下の判断をしています。

ウ(ア) 甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」は,金属製の「側壁204~210」,その外側の,電波を吸収するために設けられる「吸収性発泡体214」,更にその外側の,尖った縁部を含まない「外壁212」で構成されているところ,「側壁204~210」が金属である理由は,載置キャビティ内で使用される伝送電波の大幅な反射を達成するためであり(前記(1)ウ(オ)),「側壁204~210」がアンテナも備え(前記(1)エ(エ)),このアンテナが載置キャビティ内に載置された対象物がそれぞれ保持する,一つ又は複数のRFIDタグの読取りや書込みを行うこと(前記(1)ウ(ア))からすると,当業者は,「読取り/書込みモジュール200」は,載置キャビティ内に設置された対象物が保持するRFIDタグの読取りや書込みを行うためのものであると理解すると認められる。

つまりは、裁判所は、甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」は、載置キャビティ内に設置された対象物が保持するRFIDタグの読取りや書込みを行うためのもの(シールド部として機能していない)と整理しています。

これを受けて、「それでは、甲1発明では、シールド部として機能するのはどこなの?」と疑問が生じると思いますが、その点は、次の項目で整理されています。

3.甲1発明において、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有するのがどの構成か整理

ここでは、裁判所は、以下の判断をしています。

(イ) これに対し,甲1発明2の「読取り/書込みモジュール200」が,電波を吸収することができる「吸収性発泡体214」を備えており,「外壁212」が尖った縁部を含まない理由は,読取デバイスによって伝送される電波の放出を防ぐためであるとされている(前記(1)エ(エ))としても,前記(1)エ(ア)のとおり,「読取り/書込みモジュール200」が挿入される「読取り/書込みデバイス102」の「防壁」が電波を吸収する吸収性発泡体と,電波を反射する金属製の外側パネルを備えており,これらが外部への電波の放出,又は,外部からの電波の侵入を防止する機能を有していると認められることからすると,当業者は,甲1発明においては,「読取り/書込みデバイス102」の「防壁」が外部への電波の漏えい又は干渉を防止するものであると理解すると認められる。

つまりは、裁判所は、甲1発明2で認定されていなかった、甲1発明の「読取り/書込みデバイス102」の「防壁」が外部への電波の漏えい又は干渉を防止するものと整理しています。

しかしながら、「甲1発明2の「吸収性発泡体214」の外側に設けられる「外壁212」の材質によっては、「読取り/書込みモジュール200」はシールド部として機能するかもしれないよ?」という疑問も生じるかもしれません。

と思いますが、その点は、次の項目で整理されています。

4.甲1発明の「吸収性発泡体214」の外側に設けられる「外壁212」の材質によっては、外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能を有するか検討

ここでは、裁判所は、以下の判断をしています。

(ウ) 「吸収性発泡体214」の外側に設けられる「外壁212」の材質について,甲1では特定されていないが,上記(ア),(イ)で述べたところに,金属の「側
壁」,その外側の「吸収性発泡体」の更にその外側(外壁212の位置)に金属が設けられると,金属である「側壁」と,「外壁」が電波反射板となり,電波を反射するため,その間に「吸収性発泡体」を設ける意味が失われることを考え併せると,当業者は,甲1発明において,「外壁212」を金属で作る必要はないと理解すると認められる。

つまりは、裁判所は、当業者は,甲1発明において,「外壁212」を金属で作る必要はないと理解する(結局、「読取り/書込みモジュール200」がシールド部として機能するとは考えない)と整理しています。

これで、大方の疑問が解消され、裁判所は結論を出しています。

5.結論(甲1発明において、「読取り/書込みモジュール200」単体を発明として認定することはできない)

ここでは、裁判所は、以下の判断をしています。

(エ) そうすると,甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」は,「防壁」が存在しない状態で単独に用いられること,すなわち,「読取り/書込みモジュ
ール200」だけで電波の漏えい又は干渉を防止することは想定されていないものと認められるところ,外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能は,本件発明と対比されるべき「読取装置」には欠かせないものであるから,甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」が単体で,本件発明と対比されるべき「読取装置」であると認めることはできない。
エ 以上によると,本件審決のように甲1発明2を認定して,これを本件発明と対比することはできないというべきである。

以上が、この記事での裁判所の判断の整理になります。

もし、「もう少しわかりやすく説明して欲しい!」という方がいらっしゃいましたら、以下の、オモチ様の記事を是非ご覧になってください!
とても分かりやすく、説明をしてくださっています!

111_【判決文をかんたんに読む】ユニクロのセルフレジ 特許侵害訴訟(審決取消訴訟)

まとめ

まとめになりますが、今般の判決の要点は、以下のように感じました。

  • 審決で認定された甲1発明2に誤りがある。
  • 甲1発明2の「読取り/書込みモジュール200」は、(対比される)本件発明の「読取装置」には欠かせない「外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能」を有するものではない。(技術常識も参酌。)
  • 甲1発明2の「読取り/書込みモジュール200」が単体で、本件発明と対比されるべき「読取装置」であると認めることはできない。

つまりは、審決では本件発明1と甲1発明2との対比は行われていましたが、
この判決では、対比の前の「甲1発明2の認定」で誤りがあると判断されています

そして、ここから以下の点が読み取れると思っており、それは中間処理対応でも活用し得るものだと考えています。

  • 技術常識を考慮して請求項に記載されている用語の意義を解釈し、その点を主張することも有効。

なお、「技術常識を考慮して請求項に記載されている用語の意義を解釈」すること自体は、審査基準に記載されていることから、上記の点は、少なくとも審査基準に反するようなことではないと考えています。

2. 本願発明の認定

審査官は、請求項に係る発明の認定を、請求項の記載に基づいて行う。この認定において、審査官は、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮して請求項に記載されている用語の意義を解釈する。

今後の動き

この判決を受けて、被告側のファーストリテイリング社は、6/2に上告したとのことです。

「特許有効」との知財高裁判決に対する「ファーストリテイリング」社からの上告についてのご報告

つまりは、この事件は最高裁で争われることになります。
今後も、見逃せない状況が続きそうです。

最後に

もし何か気になることや知りたいことなどがございましたら、
・コメント、
・お問い合わせフォーム、若しくは、
twitterにて
ご連絡いただければ幸いでございます。
可能な範囲で対応させていただきます!

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